「Barkerさんは、本当に、天才なのですか」と町会長。

「イギリスの学校で、2回飛び級をしている天才です。」

「その天才が理解できないような記事が『The Asian Wall Street Journal』にはあるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕は、時折、Barkerさんと長時間にわたる議論をすることがあり、お互いに認め合った仲だったので、分からないところがあると最終原稿を書く前に教えてもらっていたのです。しかし、川上さんが指摘するまでは、Barkerさんにも分からないところがあるとは気がつきませんでしたね。」

「『The Asian Wall Street Journal』って、そんなに難しいのですか」と町会長。

「経済というのは、数学や物理と違って、絶対的な正しさというものがない世界です。そのため、経済に関する記事を書こうとする人は、権威づけのために、難しい言葉を使う傾向が強いのです。」

「確かに、日本語の経済に関する記事にもそういう傾向がありますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。実は、『A Comprehensive Grammar of the English Language』の英語は、『The Asian Wall Street Journal』の英語より難しいのです。」

「そんなに難しいのですか」と町会長。

「あるとき、川上さんと『be going to』の用法について議論していました。僕が『そのことについては、この前教えてもらった「A Comprehensive Grammar of the English Language」に書いてありますけど』と言ったのです。」

「そうしたら、川上さんは、何と言ったのですか」と町会長。

「『あれって、難しくないですか』と聞くのです。」

「それで、なんと答えたのですか」と町会長。

「『それって、どういう意味』と思ったのですが、ぐっと抑えて、『難しいですよ』と言ったら、会話はそこで終わってしまいました。」

「『A Comprehensive Grammar of the English Language』の英語は、川上さんにも難しいということですか」と町会長。

「そうなんですよ。川上さんが、『あれって、難しくないですか』と言った意味が分かったのは、それから、2,3年経った頃だったと思います。」

「川上さんが、『A Comprehensive Grammar of the English Language』が、なぜ難しいか話したのですか」と町会長。

「あるとき、アメリカ人の英文学の教授が、講師の募集に応募してきたのです。」

「英文学の教授が『A Comprehensive Grammar of the English Language』について、何か言ったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。英文学の教授は、本棚に『A Comprehensive Grammar of the English Language』があるのを、目ざとく発見したのです。」

「それで、何と言ったのですか」と町会長。

「『これは驚いた。私は日本に来て、色々なところで教えたが、この本を日本で見たのは初めてだ』と言ったのです。」

「その一言で川上さんの言った意味が分かったのですか」と町会長。

2020/11/3

<イエスズメ後記6>
朝、裏庭に行ったがイエスズメの声が全くしなかった。そういえば、早朝カラスの鳴き声がしていた。もしかして、1匹ぐらい食われてしまったのかもしれないと思った。いつもは、カラスがいなくなると、ピーピー、ピヨピヨとあっちこっちで鳴きだすのだが、1時間は経っているのに、イエスズメの気配がしないのだ。

夕方、裏庭に行くと、あっちこっちでイエスズメの声がした。栗の木の大木枝に止まっているのもいる。柿の木の大木のてっぺんに止まっているのもいる。イエスズメは、カラスのしつこい攻撃を受けて、用心していたのだろう。

この柿の木の大木には、毎年、柿が上から下までたくさんなるので、山から猿が食べに来たりする。ところが、今年は、下の方に青い柿が1つ付いているだけだ。イエスズメがみんな食べてしまったのだ。イエスズメの数は、間違いなく、増えている。<続く>

<イノシシ後記22>
9月25日に裏庭から孟宗竹を越えて栗林に入ると、孟宗竹から6,7メートルのところに生えている栗の木の大木の西側が掘られていた。堀跡からすると、何度も何度も掘ってミミズを食ったようだ。

苔庭は荒らされていないので、父イノシシ2世は、卓球場の西側に設置してある孟宗竹の裏庭側に設置した、白色のビニールで被覆された針金と2本の鉄パイプで作った防御帯を飛び越すことができなかったのだ。

孟宗竹から6,7メートルのところに生えている栗の木の大木は、枯れてから数年経っている。それで根も腐って、ミミズが大量に発生しやすくなっているのだろう。

ミミズを食って体力を上げたが、白色のビニールで被覆された針金と2本の鉄パイプで作った防御帯を飛び越えてやろうという気持ちになれなかったのだ。敗北感に打ちのめされながら、すごすごと山に帰って行ったに違いない。

結論として、スギゴケを荒らそうとした前回の侵入ルートは、孟宗竹を飛び越えて来たということになる。イノシシは強い鬱なので、どうしてもやりたいときには、孟宗竹を飛び越えるのだ。しかし、着地点に砂利があると、強い鬱なので、蹄に砂利が挟まるのが気になって 飛び越せないということだ。

ミミズを食って体力を上げたのは、体力が上がれば楽に飛び越せる距離だったからだろう。しかし、強い鬱のイノシシは、砂利の上に着地するのが嫌だったのだ。<続く>

2023/10/17